SE構法とは柱や壁の制約が少ない木造工法!耐震性と設計自由度を両立する家づくり

SE構法は、独自の接合技術と構造計算により、木造住宅でありながら大空間や大開口を実現できる工法です。

耐震等級3相当の高い耐震性能を確保しつつ、間取りの自由度も向上します。

従来の木造住宅では難しかった開放的な空間設計が可能になり、資産価値の維持や補助金活用といったメリットも期待できます。

SE構法の特徴や他工法との違いを理解し、理想の住まいづくりに役立ててください。

このコラムのポイント
・SE構法は、柱や壁の制約が少なく、自由度の高い開放的な空間をつくれる点が特徴です。
・SE構法は、構造と内装を分ける「スケルトン・インフィル」により将来の間取り変更が容易で、家の資産価値を長期的に保てます。
・長期優良住宅などの認定が取りやすく、補助金や税制優遇で費用を抑えられます。

SE構法は高い耐震性と空間の自由度を両立する工法

SE構法は高い耐震性と空間の自由度を両立する工法

SE構法は、「Safety Engineering(安全工学)」の頭文字をとった名称で、1995年の阪神・淡路大震災をきっかけに開発された木造建築工法です。

大規模木造建築で採用されてきた「木造ラーメン構法」をルーツとしており、柱と梁で建物を支える強固なフレーム構造が特徴となっています。

SE構法を採用するメリット

SE構法を採用するメリット

SE構法は、高い耐震性と設計の自由度を両立させた木造建築工法です。

大空間リビングや大開口の窓、吹き抜けといった開放的なデザインを安全に実現できます。

将来的な間取り変更も容易なため、家族構成やライフスタイルの変化に柔軟に対応可能です。

耐震等級3の耐震性を確保できる

SE構法は、全棟でビルやマンションと同様の精密な「構造計算」を義務付けています。

科学的な数値に基づいて安全性が証明され、偏った耐力配置による倒壊リスクを防ぎます。

強度計算された構造用集成材と独自開発のSE金物で強固な骨格を形成するため、最高ランクの耐震等級3を標準で実現でき、地震に強い構造です。

実際に、東日本大震災や熊本地震など過去の大地震において、倒壊ゼロの実績があります。

〈参考〉国土交通省|耐震性能を等級で確認して、安心の住まいづくり

柱や壁の制約が少ない、自由度の高い空間設計

強固なフレームが建物を支えるため、室内の耐力壁や柱を減らせます。

従来の木造住宅では構造上の制約から諦めざるを得なかった開放感あふれる空間づくりも、SE構法なら設計段階から自由に検討できます。

(例)

  • ・30畳を超える柱のない大空間リビング
  • ・壁一面の大開口
  • ・開放的な吹き抜け
  • ・大型のビルトインガレージ など

家の資産価値を維持しやすい

構造躯体と内装を分離して考える「スケルトン・インフィル」を実現するため、家族構成の変化に合わせた大規模な間取り変更が容易です。

子育ての時期には子ども部屋を増やし、お子さまが独立したら夫婦の趣味空間に変えるなど、柔軟に対応できます。

また、構造計算書や性能保証により建物の品質が客観的に証明されるため、資産価値を長期的に維持しやすくなります。

従来、木造住宅は築年数と共に価値がゼロに近づくため、第三者機関による性能証明は将来の売却や賃貸の際にも有利です。

補助金制度を活用できる

SE構法は、耐震性・省エネ性・劣化対策といった「長期優良住宅」の認定基準をクリアしやすく、税制優遇や住宅ローンの金利優遇などのメリットを受けられます。

認定を受けると住宅ローン控除の対象借入額が拡大され、最大で数百万円の節税効果を得られる場合があります。

さらに、地方自治体独自の補助金制度とも併用できるケースがあり、建築費用の一部を補助金で賄うことが可能です。

具体的な補助金制度については、後ほどご紹介いたします。

SE構法のデメリットと注意点

SE構法のデメリットと注意点

SE構法には多くのメリットがある一方で、建築費用が在来工法より高くなることや、対応できる工務店が限られる点に注意が必要です。

デメリットを理解したうえで、長期的な視点でSE構法を検討しましょう。

建築費用が高い

専用の資材の使用、強固な基礎工事、構造計算の義務付けにより、在来工法と比較して坪単価で5〜10万円、総額で150〜300万円程度コストが高くなる傾向があります。

構造計算には構造設計士による詳細な検証が必要となり、その費用も建築費に含まれます。

基礎についても、大空間を支えるために通常より強固な設計が求められ、多くの鉄筋やコンクリートが必要です。

ただし、長期的な資産価値の維持や地震保険料の割引、補助金の活用などを考慮すると、初期費用の差は相殺される可能性があります。

対応できる工務店が限られる

SE構法は、認定資格を持つ「SE構法登録施工店」でしか施工できません。

そのため、地域によっては選択できる工務店が少ない場合があります。

認定施工店であっても、技術力や設計提案力、SE構法の実績にはばらつきがあります。

施工実績や過去の施工事例を確認し、信頼できるパートナーを選ぶことが満足度の高い家づくりにつながります。

工務店とハウスメーカーの違いについて、こちらで解説しているのでぜひご覧ください。

〈関連コラム〉ハウスメーカーと工務店の違いは?価格差だけでなくコストパフォーマンスを比較しよう

SE構法と他の工法との違い

SE構法と他の工法との違い

SE構法は、在来工法やツーバイフォー工法といった他の木造建築工法と比較して、構造計算の実施や設計自由度の面で明確な違いがあります

ご自宅に適した選択のために、それぞれの工法の特徴を理解しておきましょう。

在来工法(木造軸組工法)との違い

在来工法も柱と梁で建物を支える軸組構造ですが、SE構法との違いは構造計算の有無と接合方法です。

2025年4月の建築基準法改正により、在来工法でも一定規模以上の建物には構造計算が義務化されましたが、小規模住宅では壁量計算などの簡易的な方法も認められています。

一方、SE構法は全棟で構造計算を実施し、建物全体のバランスや各部材の強度を数値で証明します。

また、SE構法では特殊な金物の使用で接合部の強度を高めており、在来工法の一般的な釘や金物による接合とは耐力に明確な差があります。

ツーバイフォー(2×4)工法との違い

ツーバイフォー工法は壁で建物を支える「壁式構造」であり、柱と梁で支えるSE構法の「軸組構造」とは根本的な考え方が異なります。

ツーバイフォー工法は壁全体で荷重を分散させるため耐震性に優れていますが、構造上必要な壁を取り除けないため間取りの自由度が制限されます。

SE構法は柱と梁で荷重を支えるため、壁の配置に制約が少なく、間取りの変更が柔軟です。

ツーバイフォー工法は規格化された材料を使用するため施工が比較的容易で工期も短い傾向にありますが、SE構法は構造計算や専門金物の施工に時間を要します。

どちらも高い耐震性を実現できますが、将来の可変性を求めるならSE構法、初期コストを抑えたいならツーバイフォー工法が適した選択です。

SE構法で活用できる補助金・税制優遇

SE構法で活用できる補助金・税制優遇

SE構法は高い耐震性や設計の自由度により、長期優良住宅やZEH(※)といった高性能住宅の認定を取得しやすく、国や地方自治体のさまざまな補助金・税制優遇制度を活用できます。

※ZEH(ゼッチ)とは、高断熱性能と省エネ設備により消費エネルギーを削減し、太陽光発電などでエネルギーを創ることで、年間のエネルギー消費量をゼロ以下にする住宅のこと

<SE構法で活用できる補助金・税制優遇>

制度名 概要
子育てエコホーム支援事業 ・ZEH水準を満たす新築住宅に対して補助金が交付される国の制度。
補助額:最大100万円
SE構法はZEH水準を満たす高性能住宅の認定を取得しやすいため、活用できる。
戸建住宅ZEH化等支援事業 ・ZEH基準を満たす住宅に定額補助、蓄電システム導入の追加補助が受けられる国の制度。
補助額:定額補助+蓄電システム追加補助
・SE構法はZEH基準を満たす住宅の認定を取得しやすいため、活用できる。
地方自治体の補助金 ・都道府県や市区町村が独自に実施する補助金制度。
例:神奈川県ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス導入費補助金。
・補助額:ZEH+で90万円/戸、ZEHで55万円/戸、ZEH Orientedで50万円/戸(基準一次エネルギー消費量削減率35%以上の場合は20万円/戸加算)
・SE構法で建てた住宅はZEH等の高性能住宅として認定されやすいため、地方自治体の補助金も利用できる場合がある。
住宅ローン減税 ・年末のローン残高の0.7%が最大13年間控除される国の税制優遇制度。
・長期優良住宅の場合、借入限度額が5,000万円まで拡大される
・SE構法は長期優良住宅の認定を取得しやすいため、制度を最大限に活用できる。

〈参考〉子育てグリーン住宅支援事業

〈参考〉戸建住宅ZEH化等支援事業

〈参考〉神奈川県ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス導入費補助金

〈参考〉住宅ローン減税

SE構法のQ&A

SE構法のQ&A

SE構法について、矢島建設工業がよくいただく質問・回答を紹介します。

Q. SE構法で実現可能なデザインは?

A. SE構法は、以下のような開放的で自由度の高いデザインを実現できます。

  • ・柱や壁のない大空間:30畳を超えるような広いリビングやLDKなど、室内に柱や壁を設けずに、広々とした空間を確保できる
  • ・壁一面の大きな開口:窓の配置に制約が少ないため、壁一面を窓にした大きな開口部を設けられる
  • ・吹き抜け:柱や壁の制約が少ないため、ダイナミックな吹き抜けを設けられる
  • ・スキップフロア:複雑な間取りや高低差を活かしたスキップフロアなど、木造軸組工法では難しかったデザインも実現できる

吹き抜けの梁を見せる効果や設計のポイントについて、こちらで解説しています。

〈関連コラム〉吹き抜けの梁を見せるメリット・デメリットとは?施工事例や設計のポイントも解説

Q. SE構法に対応した工務店はどうやって探す?

A. SE構法の公式サイトでは「SE構法登録施工店」の検索システムが用意されており、地域ごとに対応できる工務店を探せます。

検索する際は、登録の有無だけでなく、SE構法の施工実績が豊富な工務店をおすすめします。

構造計算書の説明を丁寧に行ってくれるか、長期的な保証体制が整っているか、アフターメンテナンスに対応できるかといった点も確認が必要です。

複数の登録施工店への相談、提案内容や担当者の比較で、信頼できるパートナーを見つけられます。

まとめ

SE構法は単なる「地震に強い家」という枠を超えて、将来のライフスタイルの変化に柔軟に対応できる「可変性」こそが価値といえます。

20年後、30年後も快適に暮らせる家づくりを目指す方にとって、SE構法は検討する価値のある選択肢です。

神奈川県横浜市周辺で、SE構法での家づくりをご検討の方は「矢島建設工業」にお気軽にご相談ください。

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