
「吹き抜けに梁を見せるデザインにしたいけど、メリットやデメリットがわからない」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。
吹き抜けの梁は、デザイン性が魅力的な一方、掃除の手間やコスト面での注意点もあります。
この記事では、吹き抜けに梁を設置するメリット・デメリットやおしゃれな施工事例、設計時のポイントなどをわかりやすく解説します。
理想の住まいづくりの参考に、ぜひ最後までごらんください。
このコラムのポイント |
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・吹き抜けの梁はデザイン性が向上しますが、清掃の手間や施工費増加などのデメリットもあります。 ・梁の配置・仕上げ方法の工夫や清掃しやすい設計により、デメリットを減らしつつコストを抑えられます。 ・梁を活かした照明計画と内装デザインとの調和が、おしゃれに見せるポイントです。 |
Contents
吹き抜けの梁(はり)とは

梁は屋根や床の重みを支え、その力を柱に伝えるために欠かせない構造材です。
一般的な住宅では、梁は天井に隠れて見えない状態ですが、最近ではデザインのアクセントとしてあえて見せる「見せ梁(化粧梁)」も人気です。
大きな吹き抜けをつくる際には、建物の強度を保つために構造上、梁が必要になる場合があります。
設計の構造計算で安全性が確認できれば、梁のない吹き抜けにすることも可能です。
吹き抜けに梁を設置するメリット

吹き抜けに梁を設置するメリットを3つ紹介します。
デザイン性が向上する
吹き抜けだけでも開放感ある雰囲気を作れますが、広さによっては「空間が間延びして見える」など、物足りなさを感じることがあります。
このような場合、空間全体にアクセントを加える見せ梁が効果的です。
梁により、吹き抜けがより立体的に見えることで、空間にメリハリと奥行きが生まれます。
天井が高く見える
梁の配置方法の工夫で、視覚効果によって部屋をより広く感じさせることも可能です。
吹き抜けのある天井や傾斜のある天井(勾配天井)に梁を設置すると、遠近感によって天井が実際よりも高く感じられます。
構造的な安心感が得られる
梁が目に見える状態は、構造的な力強さと安心感を与えるのに効果的です。
通常の住宅では梁が天井裏に隠れて見えませんが、見せ梁として露出させることで建物の骨組みを実感できます。
太い梁が視界に入ると「この家は頑丈に作られている」という心理的な安心感につながります。
吹き抜けに梁を設置するデメリットと対策

吹き抜けの梁には魅力的なメリットがある一方で、事前に知っておくべきデメリットもあります。
梁の上にホコリが溜まりやすい
年数がたつと、梁の上にホコリが溜まります。
高所にある梁の清掃は、通常の掃除と比べて手間がかかる点が課題です。
【対策】
清掃は、伸縮式のモップや清掃用具を使ってホコリを取り除くのが効果的です。
高所専用モップには、約5メートルまで伸ばせる製品もあり、高い位置でも安全に掃除できます。
建築コストが追加でかかる
見せ梁を施工する場合、梁を設けない場合と比べて施工費用が増加します。
設置する梁の数量や大きさ・仕上げにより差はありますが、一般的には数万円〜数十万円程度の追加費用が発生します。
【対策】
見せ梁のサイズを小さくしたり本数を減らしたりするなど、施工費用の調整は可能です。
梁の仕上げ手法の工夫も、費用を抑えるのに有効です。
たとえば、高級な無垢材の代わりに、構造用集成材に塗装を施すなどの方法があります。
後から撤去や変更が難しい
見せ梁を設置したあとに「取り外したい」と思っても、撤去は困難です。
【対策】
後悔を避けるためには、見せ梁を設置する場合と設置しない場合の印象の違いを、3Dパースや実例で確認しておきましょう。
あわせて、時間帯による光の入り方や、梁のデザイン・色味などを確認することで、完成後の失敗を防げます。
圧迫感をおぼえることがある
梁の本数や配置によっては、せっかくの開放的な吹き抜けに圧迫感を与える場合があります。
【対策】
梁の本数を絞ったり、視線が抜けるように配置を工夫したりすることで、圧迫感を和らげられます。
梁の色を壁や天井と合わせると空間に溶け込み、梁の存在感を適度に抑えられます。
吹き抜け×見せ梁の施工事例
実際の施工事例で、見せ梁の活用方法や仕上がりの雰囲気を確認してみましょう。
木の温もりを感じるナチュラルな吹き抜け
吹き抜け部や一階の天井を木目仕上げにした温かみのあるデザイン事例です。

▶施工事例:吹抜けにインダストリアルなスケルトン階段。ロフトまで全部カッコイイ家
ナチュラルな木の質感を活かした梁を配置することで、開放的でありながら温かみのある空間に仕上げました。
スケルトン階段との組み合わせにより、インダストリアルでありながらも心地よい空間となっています。
ダークカラーの梁で引き締めるモダンな吹き抜け
白を基調とした空間に、梁や建具をブラウンで統一することで、メリハリの効いた空間を演出した事例です。

▶施工事例:【海が見える│吹き抜け│サウナ付き】開放感と非日常を味わう。リゾートの寛ぎを我が家で
キッチンや一部の壁紙をブラックで統一することで、モダンな印象に仕上げました。
ダークカラーの梁を効果的に使用し、高級感のあるリゾート風の空間を実現しています。
白でまとめた梁と壁で洗練された吹き抜け
梁を壁と統一して白で仕上げることで、開放感のあるリビングを実現した事例です。

▶施工事例:【吹抜け・3階建て】変形の間取りから生まれる程よい距離感。お手本は海外インテリア
全体的に白を基調としており、海外インテリアのような洗練された空間を実現しています。
矢島建設工業には、今回ご紹介しきれなかった事例がたくさんあります。ぜひごらんください。
吹き抜けの梁を設計するポイント

理想的な見せ梁を実現するための設計ポイントを2つご紹介します。
内装デザインとの調和を意識する
梁の設計では、以下の要素を内装デザインと調和させるとおしゃれに仕上がります。
- ・色:壁や天井との配色バランス
- ・太さ:空間に対する適切なボリューム感
- ・本数:圧迫感と開放感のバランス
梁の仕上げ方には主に以下の3つがあります。
- ・塗装仕上げ:壁や天井と同系色にして空間に溶け込ませたり、アクセントカラーで印象的に仕上げられる
- ・クロス巻き仕上げ:壁紙と同じ素材を使用することで統一感を演出できる
- ・オイル仕上げ:木材の質感を活かして、自然な風合いを残せる
お住まいのテイストに合わせた仕上げ方法を選びましょう。
「梁ありき」で照明を計画する
吹き抜けの天井にダウンライトなどの照明を設置するだけでは、梁が影になってしまい、空間をうまく照らせないことがあります。
【対策】
- ・ブラケットライトを梁の側面に取り付け
- ・梁にペンダントライトを配置
ダウンライトに加えてこれらを組み合わせれば、明るさを確保しつつ、落ち着いた雰囲気を作り出せます。
まとめ
吹き抜けの見せ梁は、空間をおしゃれに演出し天井を高く見せる効果がある反面、掃除の手間や費用の課題があります。
ただし、これらは事前の設計や工夫で解決可能です。
内装に合った色や素材を選び、梁を活かした照明計画を立てることで、機能性と美しさを両立した空間が完成します。
矢島建設工業では、吹き抜けのある住宅の豊富な実績を活かし、デザインはもちろん、一年を通して快適に過ごせる住まいをご提案します。
吹き抜けに関するご希望や不安な点など、ぜひお気軽にご相談ください。


