
「軒のない家っておしゃれで素敵だけど、10年後にはどうなるのかな…」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。
軒のない家は建築費用を抑えやすく、シンプルでモダンな外観が人気ですが、対策をしないと、外壁に汚れや傷みが出やすいなどの面もあります。
この記事では、軒のない家のメリット・デメリットと対策、おしゃれな施工事例について詳しく解説します。
軒のない家づくりで後悔しないために、ぜひ最後までご覧ください。
このコラムのポイント |
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・軒のない家はデザイン性が高い反面、外壁の汚れや劣化、雨漏りのリスクが伴います。 ・軒のない家には、高機能な外壁材の採用や、実績豊富な業者選びが必要です。 ・断熱性の高い窓や庇を設けることで、夏の暑さや雨天時の不便さを解消できます。 |
軒のない家のメリット

軒のない家には、デザイン性の高さや狭い土地を有効に活用できることなど、多くの魅力があります。
シンプルモダンな外観
軒のない家は、凹凸のないすっきりとした箱型のフォルムで、洗練されたスタイリッシュな印象を与えます。
無駄な装飾を省いたシンプルなデザインは、流行に左右されず、長く愛される外観です。
フラットな壁面は、ガルバリウム鋼板やタイルなど、外壁材の素材感を活かせます。
居住スペースを最大化できる
建築基準法では、軒や庇(ひさし)が外壁から1m以上出っ張っていると、その部分も建築面積として計算されます。
軒をなくすことで、建ぺい率(敷地面積に対する建築面積の割合)の制約が厳しい土地でも、建物を敷地いっぱいに建てやすくなります。
都市部の狭い土地や変わった形の土地で、隣の家との距離が近い場合でも、敷地を有効活用した空間づくりが可能です。
建築コストを抑えられる
軒をつくるために必要な屋根まわりの部材や、それらを施工する工程がなくなるため、建築コストを抑えられます。
室内に太陽光を取り込みやすい
軒が日差しを遮らないため、冬でも部屋の奥まで太陽の光を届けられます。
部屋の高い位置に窓(ハイサイドライト)を作っても軒で影にならず、明るくて開放的なリビングや吹き抜けを作れます。
軒のない家に後悔するデメリットと対策

軒のない家にはメリットが多い一方で、事前に知っておきたいデメリットもあります。
外壁が汚れやすく、メンテナンスコストが増える
軒がない家は、雨水が直接外壁を流れるため、ほこり等の汚れが付着しやすくなります。
築10年後には窓サッシや換気フードの下に、黒い筋の「雨だれ」が目立ちやすくなるので注意が必要です。
一般的な家よりも外壁の塗り直しの時期が早まり、メンテナンス費用が高くなる場合もあります。
対策|耐久性の高い外壁材を選ぶ
汚れが付きにくく、雨で自然に汚れが流れ落ちる機能を持つ外壁材を選ぶことで、美しい外観を長く保ち、お手入れの回数を減らせます。
光触媒コーティングや、セルフクリーニング機能を持つ外壁材がおすすめです。
外壁が劣化しやすく、雨漏りのリスクが高まる

軒がないと、外壁やつなぎ目を保護するシーリングが紫外線や雨風に直接さらされやすく、劣化が早く進みます。
劣化したシーリングの隙間は雨漏りの入り口となりやすく、特に窓や換気口のまわりはリスクが高い部分です。
対策|施工実績の豊富な業者を選ぶ
軒のない家の雨漏りを防ぐには、材料の性能だけでなく、雨水がどこから入り込むかを熟知した設計と、施工技術が必要不可欠です。
軒のない家の施工経験が豊富で、リスクをしっかり理解している工務店を選びましょう。
信頼できるパートナーを見つけるために知っておきたい業者ごとの特徴について、こちらで解説しています。
〈関連コラム〉ハウスメーカーと工務店の違いは?価格差だけでなくコストパフォーマンスを比較しよう
夏は日差しが強く、室温が上がりやすい
軒が日差しを遮らないため、夏場は窓から強い直射日光が入り込んできます。
南に吹き抜けや大きな窓がある部屋では、昼間はエアコンが効きにくく、電気代が高くなる傾向があります。
対策|断熱性能を上げる
窓からの熱の出入りを防いで、外の温度に左右されにくい家にすると、室温の上昇を抑えられます。
一年を通して快適な温度で過ごすには、窓に「Low-E複層ガラス」や「トリプルガラス」など、遮熱・断熱性能の高いものを採用するのがおすすめです。
窓の外側に「アウターシェード」を設置して、直接日差しを防ぐのも効果的です。
夏の暑さ対策に欠かせない高気密高断熱住宅について、こちらで詳しく解説しています。
〈関連コラム〉高気密高断熱は必要ない?”いらない”派の5つの理由と後悔しないポイントを解説
日常生活面で不便に感じやすい
軒が雨を遮らないため、雨の日に窓を開けたり、洗濯物を干したりといった日常の行動が制限されます。
小雨でも窓を開けると室内に雨が入り込んでしまうため、窓を開けての換気がしにくくなります。
対策|窓やドアに庇を設けるか、住宅の形を工夫する
家の外観イメージを大きく変えることなく、玄関や特定の窓など、必要な場所にだけ庇を設けられます。
他にも、玄関部分を引っ込めた形状にし、2階部分を屋根とする方法もあります。
軒のない家の施工事例
ここでは、軒のない家の施工事例を2つご紹介します。
片流れ屋根の白い住宅
白いキューブ型の外観が印象的な、シンプルモダンな注文住宅の事例です。

▶施工事例:吹き抜けがつなぐ、光と空間のあるシンプルモダン住宅
正面から見ると窓が少なく、すっきりとした外観ですが、室内には吹き抜けを設けており、明るく開放的な雰囲気です。

たっぷりの光と開放的な空間が、心地よい暮らしを実現します。
住宅街でも明るく開放的な住宅
住宅の手前部分と奥側で違う屋根のデザインを採用した事例です。

▶施工事例:【ワークスペース】オンもオフも心地よく。住宅密集地でも明るく開放的に
外壁の仕上げが異なり、まるで2つの箱を組み合わせたような奥行きを感じさせる印象的な外観です。

住宅が密集している場所でも、設計の工夫によって明るく開放的な住まいを実現した住まいです。
軒のない家の10年後Q&A

軒のない家について、矢島建設工業がよくいただく質問・回答を紹介します。
Q. 軒のない家は外壁がすぐに汚れたり、傷んだりしませんか?
A. 軒がないと雨水が外壁を流れるため、窓サッシの下などに黒い筋の「雨だれ」汚れが付きやすく、紫外線のダメージも受けやすいため、外壁材の劣化が早く進む傾向があります。
光触媒などの汚れが付きにくい外壁材を選ぶことや、定期的に洗浄するなどの対策が効果的です。
Q. 軒のない家は洗濯物を干す場所に困りませんか?
A. 軒がないため、雨に当たらない屋外の物干しスペースを確保するのが難しくなります。
インナーバルコニーを設ける、浴室乾燥機を利用するなど、設計段階から室内での洗濯物干しを前提とした計画が必要です。
Q. 軒のない家はどのような人に向いていますか?
A. 軒のない家は、以下のような方に向いています。
- ・シンプルモダンなデザインを何よりも重視したい方
- ・建ぺい率が厳しい土地で、少しでも住める空間を広くしたい方
- ・家の性能(特に防水と断熱)にしっかりとお金をかけられる方
小さい敷地でも快適な住まいを実現する間取りの工夫もあわせてご覧ください。
〈関連コラム〉小さい家の二階建ての間取りポイント|メリット・デメリット、家づくりの進め方も解説
まとめ
軒のない家はデザイン性に優れる一方で、外壁の劣化などのリスク対策が欠かせません。
矢島建設工業は、これまで数多くの軒のない家の実績があります。
デザイン性はもちろん、10年後も安心して暮らせる耐久性・快適性を両立した住まいをご提案しますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。


