
ご自宅で心身ともにリラックスできる家庭用サウナは、日々の疲れを癒す最高の空間です。
しかし、サウナは高温多湿な環境のため、管理を怠るとカビが発生し、アレルギーや喘息などの健康被害を引き起こすだけでなく、サウナ自体の寿命を縮める原因にもなります。
この記事では、家庭用サウナにカビが生える原因や効果的な予防策、掃除方法などわかりやすく解説します。
快適なサウナライフを実現するために、ぜひ最後までご覧ください。
このコラムのポイント |
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・家庭用サウナは高温多湿で汗・皮脂がたまりやすく、放置するとカビが発生し、健康被害やサウナの劣化につながります。 ・カビの発生を防ぐには、使用後の「換気・乾燥」と「こまめな拭き掃除」が効果的です。 ・サウナにカビが発生したら、中性洗剤と柔らかい布で優しくこすり、手に負えない場合は木材を傷める前にサウナの専門業者へ相談しましょう。 |
Contents
家庭用サウナにカビが生える3つの原因

家庭用サウナにカビが発生する原因は「湿度」「栄養」「環境」の3つがそろうことです。
なぜサウナがカビにとって好都合な環境になりやすいのか、ご紹介します。
高温多湿な環境
カビは、温度が20〜30℃、湿度が60%以上になると増えやすくなります。
サウナ使用中は60℃以上の高温になるためカビは増えにくいですが、注意すべきは使用後です。
電源を切ったサウナ室は、ゆっくりと温度が下がり始め、カビが最も成長しやすい20〜30℃の温度帯を長時間保ってしまいます。
汗や皮脂などカビの栄養源
カビが増えるには、水分だけでなく栄養源も必要です。
サウナでかいた大量の汗や、体から出る皮脂などが木材の表面に付着すると、カビの栄養源となります。
ベンチや背もたれ、床など、直接肌が触れる部分は汚れがたまりやすくカビが生えやすい場所です。
換気不足による湿気
サウナは熱を閉じ込めるため、気密性の高い空間として設計されており、これが使用後の湿気が室内にこもる原因です。
サウナを使い終わった後にしっかり換気しないと、室内に残った湿気が外に出られず、長時間室内にたまってしまいます。
湿気がたまると、壁材やベンチなどの木材が十分に乾かない状態が続き、結果としてカビが育ちやすい環境になります。
家庭用サウナのカビを放置するリスク|健康・寿命への影響

サウナの黒ずみは、カビが広がっているサインです。
放置すると、アレルギーや健康被害の原因となるだけでなく、サウナ本体を傷め、寿命を縮めるため、早めの対策をおすすめします。
アレルギーや喘息などの健康被害
カビは、目に見えない細かい胞子を空気中に大量に放出します。
この胞子を吸い込むと、以下のトラブルにつながります。
- ・アレルギー症状
カビの胞子はアレルギーの原因となり、くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどの鼻の症状や、目のかゆみ、充血といった症状を引き起こすことがあります。
- ・呼吸に関する病気
喘息をお持ちの方がカビの粒子を吸い込むと、発作が起きたり、症状がひどくなったりする恐れがあります。
- ・肌のトラブル
カビが直接肌に触れると、アトピーが悪化したり、肌の感染症を起こしたりすることもあります。
サウナの劣化による耐用年数の低下
カビは健康被害だけでなく、サウナ自体を傷めてしまいます。
- ・木材の劣化と腐食
カビは木材に付着した汗や皮脂を栄養にして増えます。
カビを放置すると、木材の奥深くまで入り込み、木材を腐らせる場合があり、サウナの修繕や交換が必要になる場合もあります。
- ・不快な臭いが出る
カビが増えると、特有の不快な臭いが発生します。
よく「土っぽい臭い」「湿った雑巾のような臭い」と表現されるこのカビ臭は、サウナ空間の快適さを損ないます。
- ・見た目が悪くなる
きれいな木目のサウナの壁やベンチに、黒や緑の斑点が広がってしまうと、見た目が悪くなり、空間の雰囲気が台無しになります。
これらの劣化を防ぐメンテナンスは、サウナの維持に欠かせません。
自宅サウナにかかる費用全般については、こちらの記事で詳しく解説しています。
〈関連コラム〉自宅サウナの維持費はいくら?設置費用や抑えるポイントを解説
カビと木材の「アク」との正しい見分け方

家庭用サウナの木材の黒いシミは、「カビ」ではなく、木材由来の無害な「アク」である可能性もあります。
慌てて対処する前に、どちらなのか正しく見分けましょう。
見た目や臭い、発生場所を観察することで、カビかアクかを判断できます。
以下の表を参考に、サウナの状態を確認してみてください。
判断基準 | カビ | アク |
臭い | 特有のカビ臭、不快な臭いがする。 | ほとんど臭いはしないか、木の香りがする。 |
形状・広がり方 | 点状または綿毛のようにフワフワと広がる。 日に日に範囲が広がることがある。 |
木目に沿ってシミ状になる。 大きな変化は見られないことが多い。 |
表面の状態 | 表面がザラザラ、フワフワしていることがある。 | 表面は滑らかで、平坦なシミのように見える。 |
色 | 黒、緑、白、青などさまざまな色がある。 ムラがあることが多い。 |
黄色から黒褐色で、比較的均一な色合いをしていることが多い。 |
発生場所 | 湿気がたまりやすい隅、床に近い部分、換気の悪い場所に発生する。 | 木の節の周りや、木目に沿って発生しやすい。 |
わかりやすい判断基準は「臭い」と「広がり方」です。
不快なカビ臭がしたり、シミが広がっているようであれば、カビである可能性が高いといえます。
家庭用サウナのカビ予防5つの対策

カビは一度発生してしまうと、除去するのに手間がかかるため、効果的なのは、カビを発生させない環境を作ることです。
サウナのカビを予防する方法を5つご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
使用後の「換気」と「乾燥」をしっかり行う
カビは湿気を好むため、サウナ使用後は室内の湿気をすぐに外へ逃がす「換気」と「乾燥」がポイントです。
- ・ドアの開放:使用後はすぐにサウナのドアを全開にし、空気の通り道を作りましょう。
- ・換気扇の活用:換気扇が設置されている場合は必ずスイッチを入れ、湿気を排出してください。
- ・十分な換気時間:最低でも30分、できれば1時間以上は換気を行い、室内の湿気をしっかり取り除くのが理想です。
- ・サーキュレーターの利用:サーキュレーターや扇風機を使ってサウナ室内に風を送ると、空気が循環して、より早く乾燥させられます。
水分と汚れを拭き取る
汗や皮脂、ロウリュでかかった水分は、そのままにしておくとカビの原因になります。
使用後の一手間で、カビのエサをなくしましょう。
- ・乾いたタオルで拭く:使用後は、吸水性の良い乾いたきれいなタオルで、ベンチ、壁、床などを丁寧に拭きます。汗がたくさん付くベンチや背もたれは、念入りに拭きましょう。
- ・定期的な拭き掃除:目に見えない皮脂汚れなどを落とすため、週に1回程度、固く絞った濡れタオルで全体を拭き掃除する習慣をつけると、さらに効果的です。
- ・タオルやマットを敷いて汚れを防ぐ:木材に直接肌が触れるのを防ぐと、汗や皮脂の付着を減らせます。
温湿度計で適切な「湿度・温度」を管理する
感覚だけに頼らず、サウナ室内の環境を数字でわかるようにすることも有効な予防方法です。
サウナ室内に温湿度計を設置し、湿度を60%以下に保つことを目標にしましょう。
使用後に湿度がなかなか下がらない場合は、換気の時間や方法を見直す目安になります。
〈参考〉カビ対策マニュアル 実践編 3-4カビ発生原因の解明|文部科学省
サウナ専用の木材保護剤を塗る
市販されているサウナ専用の木材保護剤を塗ることも、予防方法の一つです。
保護剤が木の表面に膜を作り、水分や汚れが木材の中に浸透するのを防ぐため、カビの発生を防ぐ効果が期待できます。
ただし、必ず「サウナ用」と記載された、熱が加わっても有害物質を発生しない、人体に安全な製品を選んでください。
事前にサウナのメーカーに適した保護剤があるか確認することをおすすめします。
家庭用サウナに生えたカビの掃除方法

予防をしていても、カビが発生してしまうことはあります。
サウナにカビを見つけたら、木を傷めないよう早めに対応しましょう。
初期の軽いカビなら、木材用の中性洗剤と柔らかい布で優しくこすり、水拭き後にしっかり乾燥させます。
ただし、木を傷つける硬いタワシや、変色の原因となる塩素系カビ取り剤は使わないでください。
カビが広範囲に広がっていたり、ご自身で掃除しても再発する場合は、無理をせず施工業者や専門家に相談しましょう。
サウナのある住宅の検討において、信頼できる業者選びが大切になります。
ハウスメーカーと工務店の違いについて知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
〈関連コラム〉ハウスメーカーと工務店の違いは?価格差だけでなくコストパフォーマンスを比較しよう
まとめ
日々の簡単なお手入れを習慣にすることが、カビを防ぎ、最高のサウナ体験を維持する秘訣です。
しかし、メンテナンスを怠ると、カビによる健康被害やサウナの劣化など、深刻な後悔につながる場合があります。
正しい知識でメンテナンスを行い、心からリラックスできるサウナ空間を楽しんでください。
家庭用サウナをご検討中の方は、豊富な実績を持つ「矢島建設工業」にぜひお気軽にご相談ください。


