
坂や傾斜地に家を建てる場合、眺望・日当たり・土地価格といった魅力がある一方、いくつかのデメリットがあるため注意が必要です。
さらに神奈川県では、令和8年(2026年)4月1日から建築基準条例が改正され、崖規制の対象となる高さが変更されるため、傾斜地における家づくりにも影響が出ると考えられます。
そこで本記事では、坂・傾斜地に家を建てて後悔する理由や、傾斜地に建てる家ならではのメリット、神奈川県の条例改正の影響までわかりやすく解説します。
| このコラムのポイント |
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| ・傾斜地は土地代が安い一方、地盤改良や擁壁工事などの費用が高くなり、トータルで平坦地より割高になるケースもあるため注意しましょう。 ・神奈川県の条例改正では、崖の規制対象が「高さ3m超」から「高さ2m超」に変更され、家づくりに影響が生じると考えられます。 ・擁壁工事や傾斜地における建築は、高度な技術・経験・法令知識が求められるため、条例改正に的確に対応できる実績豊富な施工会社への依頼が欠かせません。 |
坂・傾斜地に家を建てて後悔する理由・デメリット

坂や傾斜地に家を建てる場合、いくつかのデメリットがあるため注意が必要です。
ここからは、後悔しやすい5つのポイントを解説します。
造成・地盤改良費が高額になりやすい
傾斜地に家を建てる際、まずは土地を平らにする造成工事を行うことで、費用がかさんでしまう恐れがあります。
切土によって生じた崖には擁壁工事が、盛土をした箇所には地盤改良工事が求められるケースも多く、費用は数百万円単位になることもめずらしくありません。
坂や傾斜地は土地代が安い傾向にあるものの、これらの工事費を合算すると平坦地より割高になってしまうケースは多く見られます。
土地代を安く抑えたい方は、こちらの記事もごらんください。
〈関連コラム〉不整形地とは?土地代を安く抑えて理想の家を建てるメリットや変形地を活かした賢い家づくりの方法
基礎工事費が高くなりやすい
坂や傾斜地の基礎工事では、地面の高低差に対応するために、基礎を深く・高く作る必要がある点に注意しましょう。
鉄筋コンクリート製の基礎一体型擁壁が必要になるケースも多く、現場の状況にもよりますが、基礎工事費だけで数百万円ほどかかることもあります。
細い坂の途中にあるなど、工事車両が入りにくい立地の場合、作業効率の関係で費用がさらに膨らむ恐れも少なくありません。
擁壁の新設・補修費がかかる
坂や傾斜地に家を建てる場合、多くのケースにおいて、崩落を防ぐために土を支える擁壁が必要になります。
擁壁は、新設するだけでも数十万〜数百万円の費用がかかり、既存の擁壁がある土地の場合も、老朽化が進んでいれば補修や建て替えが必須です。
また、一度設置して終わりではなく、定期的なメンテナンスが必要となるので、家を建ててからも維持費用がかかる点に注意しましょう。
擁壁のある土地について、こちらで詳しく解説しています。
〈関連コラム〉擁壁のある土地はやめた方がいい?後悔を防ぐ購入時のチェックポイント
自然災害のリスクが高い恐れがある
坂や傾斜地に建てられた家は、平坦地にある家と比較した際、大雨や地震による土砂崩れ・地滑り・落石などの自然災害リスクが高い傾向があります。
なかでも、盛土で造成された土地は地盤が緩みやすく、集中豪雨が発生した際には崩壊の危険性が高まるため注意が必要です。
「土砂災害警戒区域」や「急傾斜地崩壊危険区域」に指定されているエリアも存在するため、土地を購入する前にハザードマップで必ず確認しておきましょう。
家づくりの自由度が低くなる場合がある
坂や傾斜地では、建築基準法や各自治体の条例によって、建物の高さや構造、建て方などに制限がかかる場合があります。
また、特殊な地形に合わせた設計が求められるため、希望の間取りや外観を実現できないケースも少なくありません。
さらに、傾斜地の施工に対応できる工務店やハウスメーカーは限られており、「理想のマイホームを自由に建てたい」と考えている方にとって、思わぬハードルとなる場合があります。
矢島建設工業では、自社在籍の経験豊富な施工管理技士が現場を直接管理するため、複雑な敷地条件でも安全・確実な施工をお約束します。
坂・傾斜地などの難易度の高い土地をうまく活用したい方は、お気軽にご相談ください。

坂・傾斜地に建てた家ならではのメリット

坂や傾斜地に家を建てる場合、費用の増加・災害リスク・設計の自由度の制限といった点に注意が必要です。
その一方で、傾斜地にある家ならではのメリットも少なくありません。
眺望が良い
坂や傾斜地に建てられた家の大きなメリットが、高台ならではの開けた眺望です。
平坦地に建てた家の場合、隣家との距離も近く、採光や眺望が犠牲になるケースも少なくありません。
一方で傾斜地にある家は、周囲の建物に視界を遮られにくく、街並みや山並み、海辺といった美しい景色を、ご自宅にいながら日常的に楽しめます。
リビングに大きな掃き出し窓を設ければ、家族団らんの場で外の景色を一望でき、まるでホテルのような開放感のある暮らしも叶います。
日当たり・採光に優れている
坂・傾斜地に建てられた家は、隣家や周辺の建物によって日陰の影響を受けにくく、安定した日当たりを確保しやすい点も魅力です。
平坦地の住宅密集エリアに家を建てる場合、どうしても照明に頼りがちな暮らしになってしまいますが、坂・傾斜地にある家であれば自然光で過ごせる時間を増やせます。
とりわけ南向きの斜面であれば、自然光をたっぷり取り込めるため、冬場でも一日を通じて室内が明るく保たれるのがメリットです。
自然光を取り込みやすいことで、光熱費の節約にもつながります。
風通しが良く湿気がこもりにくい
坂や傾斜地にある家は、平坦地の住宅密集エリアと比べて周囲が開けているため、自然風が通り抜けやすく、風通しが良い傾向にあります。
風通しが良いと湿気がこもりにくく、家の中でカビやダニが繁殖するのを抑えられるので、建物の劣化防止に効果的です。
夏場には高台を涼しい風が吹き抜け、その風を室内に取り込みやすいことから、エアコンを使いすぎずに光熱費の節約にも期待できます。
浸水リスクが低い
坂や傾斜地に建てた家は、地盤が周囲より高い位置にあるため、大雨や河川の氾濫による浸水被害を受けにくいのもメリットです。
ハザードマップでも洪水リスクのエリアから外れている土地が多く、水害対策の面では、高い安全性を確保しやすいと言えます。
しかし、先にも解説した通り、土砂崩れや地滑りなどのリスクは高い恐れがあるので、土地を購入する際には慎重な判断が欠かせません。
平地では難しい立体的な空間づくりが叶う
坂や傾斜地に家を建てる場合、地形の高低差を活かすことによって、スキップフロアや地下室、半地下空間など、立体的な間取りを作りやすいのも魅力です。
フロアごとに高さを少しずつずらした設計を採用することで、視線の抜けとプライバシーを自然に両立できるだけでなく、空間が単調なイメージになりません。
傾斜を逆手に取った個性的な設計は、デザイン性と暮らしやすさを備えた家づくりを可能にしてくれます。
矢島建設工業では、坂・傾斜地などの複雑な土地においても豊富な施工実績があります。
詳しい事例が気になる方は、こちらよりごらんください。

【神奈川県】建築基準条例の改正で何が変わるのか

坂の途中や傾斜地に家を建てる際、重要なのが各自治体の条例を遵守することです。
神奈川県では、神奈川県建築基準条例が改正され、令和8年(2026年)4月1日から本格施行されることが決まっています。
ここからは、建築基準条例の改正によって何が変わるのかをわかりやすく解説します。
崖(がけ)の規制対象が厳しくなる
令和8年4月における神奈川県建築基準条例の改正によって、これまで「高さ3m」を超えると規制対象だった崖が、「高さ2m」から規制対象になります。
| 項目 | 改正前(〜2026/3/31) | 改正後(2026/4/1〜) |
| 規制対象となる崖の高さ | 高さ3mを超える崖 | 高さ2mを超える崖 |
| 影響 | 2m〜3mの崖は規制対象外 | 2mを超えるすべての崖で、原則として安全な擁壁の設置が必要になる |
これにより、擁壁の設置などの安全対策が必要なケースが増加するため注意が必要です。
〈参照〉神奈川県公式サイト > 産業・働く > 業種別情報 > 建築業 > 神奈川県建築基準条例の一部改正について
既存の「古い擁壁」にも注意が必要
今回の神奈川県建築基準条例の改正により、崖の規制対象が高さ3m超から2m超に変更されたことによって、これまで規制外だった古い擁壁も規制対象になるケースが増えると考えられます。
既存の擁壁がある場合も、検査済証がない・劣化や亀裂がある・条例制定前に施工されたものは安全性が確認できず、建て替えや新築の確認申請時に造り直しを求められる恐れがあるため注意が必要です。
土地の購入時や建築計画を立てる際には、敷地内・隣地の擁壁の状態などを必ず確認しておきましょう。
施工会社は法令対応力を重視して選ぶのがベスト
今回の神奈川県建築基準条例の改正により、崖や擁壁に関するルールが厳格化されました。
そのため、坂の途中や傾斜地に家を建てる場合、こういった法改正に対応できる施工会社を選ぶことが、これまで以上に重要になっています。
擁壁の造り直しや高低差のある土地での建築は、法令知識だけでなく技術力や経験、豊富なノウハウが問われる難易度の高い工事です。
条例の内容を正しく理解せずに施工を進めると、確認申請が通らなかったり、完成後に是正を求められるリスクも少なくありません。
私たち矢島建設工業は、高低差のある土地が多い三ッ沢地域での施工経験を積み重ねており、擁壁工事の実績も豊富です。

▶︎施工事例:吹抜けにインダストリアルなスケルトン階段。ロフトまで全部カッコイイ家
地域の地形特性や行政の運用基準を熟知しているからこそ、法令改正にも的確に対応できます。
「もしかしたら法的に崖に分類されるかも」とお困りの方も、まずはお気軽に矢島建設工業へご相談ください。
まとめ
坂・傾斜地への建築は、費用・リスク・法規制など多くの課題がありますが、正しい知識と信頼できる施工会社を選ぶことで、後悔を十分に防ぐことができます。
とくに神奈川県では、令和8年4月の条例改正により、既存の古い擁壁も対応が求められるケースが増えるため、土地購入前に擁壁の状態や法的分類を確認することが重要です。
私たち矢島建設工業は、高低差のある土地での施工経験や、擁壁工事の実績も豊富であるほか、一級建築士による完全自由設計で、高低差を活かした魅力的なプランをご提案可能です。
地形のデメリットを逆手に取った設計で、他にはない魅力ある住まいを実現したい方は、いつでもお問い合わせください。



