
木造アパートはRC造に比べて素材が軽量なため、物理的に音が伝わりやすい構造的な特性を持っています。
音漏れは入居者が離れてしまう原因ですが、建築費の抑制や高い節税効果といった木造のメリットを活かすうえで、決して放っておけない問題です。
設計段階で防振材の導入や間取りの配置を見直せば、木造の弱点を補いつつ安定経営を実現できます。
長期的な資産価値を維持するには、構造への理解と事前の防音対策が不可欠です。
| このコラムのポイント |
|---|
| ・木造アパートは素材の軽さや構造により、RC造より音が響きやすい構造的なデメリットがあります。 ・建築費を抑えた高利回り経営や、耐用年数の短さを活かした高い節税効果が大きな魅力です。 ・境界壁への収納配置や水回りのレイアウト工夫で、低コストでも音漏れを抑えられます。 |
Contents
木造アパートが音漏れする理由

木造アパートの建築において、音の響きやすさを心配される方は少なくありません。
木造アパートが音漏れすると言われる理由は以下の3つです。
- ・素材が軽く、音を遮る力が弱い
- ・壁の内側で音が響く
- ・天井裏と壁に隙間ができている
木造の特徴を理解して、入居者の満足度を高める工夫を取り入れてみましょう。
素材が軽く、音を遮る力が弱い
木造建築に使われる木材や石膏ボードは、コンクリートと並べると重量が軽い素材です。
音を跳ね返す力は素材の重さに比例する性質を持ちます。
そのため、話し声やテレビの音といった空気を伝わる音が壁を通り抜けやすくなります。
建築コストと遮音性能のバランスを取りながら、最適な素材を選定することが大切です。
納得のいく住環境を提供するために、まずは構造の特性を把握しましょう。
木造アパートの遮音性能は、依頼する会社が持つ技術や提案力によっても左右されます。
コストを抑えつつ品質を確保するために、依頼先ごとの強みを理解しておきましょう。
〈関連コラム〉ハウスメーカーと工務店の違いは?価格差だけでなくコストパフォーマンスを比較しよう
壁の内側で音が響く
木造アパートの床と天井の間には、一定の空洞が設けられており、音が響きやすくなります。
上階で発生した足音や物の落下音が、空洞内の空気を伝わり下階へ届く仕組みです。
これを「太鼓現象」と呼び、木造特有の悩みとして知られています。
床下の設計で、入居者の満足度は大きく変わります。
細かな仕様まで工務店と話し合い、騒音トラブルを未然に防ぎましょう。
天井裏と壁に隙間ができている
隣の部屋との境目にある壁を「界壁(かいへき)」と呼びます。
この界壁が、天井板の裏側から屋根の直下まで隙間なく施工される設計なのかを確認しましょう。
もし隙間があると天井裏が隣の部屋とつながり、音の通り道になります。
どれほど壁の遮音性を高めても、天井裏が筒抜けの状態では本来の性能を発揮できません。
これは建物の設計の問題というより、現場の施工管理で防げる部分です。
建築中の現場を訪れ、自分の目でチェックするのもおすすめです。
確実に施工されている様子を把握し、安心できる賃貸経営を目指しましょう。
木造アパートのメリット

木造アパートには、収益性を重視する方にとって魅力的なメリットが複数あります。
構造の強みを活かすことで、安定した経営の土台を築けます。
投資利回りを高めやすい
木造アパートの建築費は、RC造と並べて検討した際、安く抑えられる点が魅力です。
建築総額が抑えられれば、投資した資金を回収するまでの期間を短縮できます。
都心部でも利回り5%前後を確保しやすいのは、木造ならではの強みです。
限られた予算で収益性を高める方法として、木造は優れた構造です。
家賃設定を周辺相場に合わせつつ、初期投資を抑えて手元に残る現金を増やしましょう。
高利回りを狙うアパート経営だけでなく、一部を自宅とする「賃貸併用住宅」を選ばれる方もおられます。
資金計画の要となるローン審査のポイントについて、こちらで詳しく解説しています。
〈関連コラム〉賃貸併用住宅のローンは通りやすいのか?ローン審査のコツと組めない場合の対策も解説
高い節税効果が得られる
木造アパートは法定耐用年数が22年と短いため、毎年の減価償却費を多めに計上できます。
所得税対策としての主なメリットは以下の3つです。
- ・短期間での償却:22年で償却するため、1年あたりの経費額が増える
- ・利益の圧縮:帳簿上の利益を抑え、所得税や住民税を軽減する
- ・キャッシュの確保:税負担を減らすことで、手元の現金を残しやすくなる
税制の仕組みを味方につけて、資産を守る準備を進めていきましょう。
節税効果を賢く利用すると、健全なアパート経営に近づきます。
耐用年数が22年のだからといって「22年で建物がダメになる」わけではありません。
減価償却期間が終わった後の長期的な運用戦略については、こちらを参考にしてください。
〈関連コラム〉木造アパートは耐用年数22年が過ぎても寿命ではない!過ぎた後のリスクと3つの対処法
出口戦略が柔軟
将来、建物を解体して土地として売却する際も、木造は有利な条件を備えています。
解体費用は1坪あたり2万円〜5万円ほどで済み、RC造の1坪あたり5万円〜10万円という解体費用と比べると、低コストです。
建物が老朽化した際、更地にしやすいため、土地の流動性が高まります。
- ・低コストで解体できる:RC造に比べて半額以下の費用で更地にできる
- ・売却しやすい:建物が老朽化しても、土地としての価値を活かせる
- ・活用の自由度が高い:更地にした後、新たな建築や売却を柔軟に選べる
出口まで見据えた計画を立てて、資産価値の維持に努めましょう。
木造アパートのデメリットはシロアリ被害のリスク

メリットがある一方で、木造特有の注意点も把握しておきましょう。
木材を主原料とする以上、シロアリによる被害には注意が必要です。
一度被害に遭うと柱や土台の強度が落ち、修繕に多額の費用がかかります。
予防のため、薬剤の効果が切れる5年ごとの防蟻処理をおすすめします。
定期的な点検とメンテナンスの実施が、建物の寿命を延ばすことにつながります。
設計段階で意識したい木造アパートの防音対策

音の問題を解決するには、図面の段階での作り込みが大切なポイントです。
後から修正するのは難しいため、打ち合わせの早い段階で希望を具体的に伝えましょう。
間取りと配置計画
設計の工夫次第で、木造の防音性能は向上します。
| 対策内容 | 具体的な工夫 |
| 収納の配置にこだわる | 境界壁にクローゼットを置き、衣類を吸音材代わりにする |
| 水回りを分離させる | トイレや浴室を隣の部屋の居室(寝室)から遠ざける |
| 階段を独立させる | 共用階段を居室と離し、足音が響かないようにする |
細やかな配慮が、快適な住まいを実現する手段となります。
間取り図をチェックする際は、音の伝わり方を想像しながら進めてください。
上下階の対策
上下階の音のトラブルを減らすために、効果の高い技術を積極的に採用しましょう。
- ・防振吊木の使用:振動を物理的に遮断する特殊な部材で天井を吊る
- ・剛床(ごうしょう)構造:厚い構造用合板で床の剛性を高める
- ・多層構造の床:遮音マットや遮音フローリングを重ねて衝撃を吸収する
床全体で衝撃を吸収する設計によって、階下への足音を抑えられます。
細部までこだわり抜いた設計が、住環境の質を引き上げます。
まとめ
木造アパート経営を成功させるポイントは、設計段階で「音の動線」をシミュレーションすることです。
収納を境界壁に配置する、天井裏の隙間をなくすなどの、コストを抑えつつ効果を発揮する工夫が、入居率の安定と長期的な資産価値を守ることにつながります。
木造ならではの「高い節税効果・高利回り」を活かすためにも、図面上で音の伝わり方を先回りして解消しておきましょう。
収益性と遮音性を両立した木造アパートの建築をご検討の際は、神奈川県を中心に一都三県でさまざまな住まいづくりをお手伝いしてきた「矢島建設工業」にお気軽にご相談ください。



